プラスチックゴミによる深刻な海洋汚染問題

海でクジラが泳ぐイメージ画像

みなさんはニュースなどで打ち上げられたクジラのお腹から、ビニール袋がいっぱいでてきたというニュースは覚えていますか?

世界各地でこのような事例が報告されて、メディアで数多く取り上げられています。

 2018年5月、マレーシアとの国境に近いタイの運河で、衰弱したゴンドウクジラのオスが発見された。泳ぐことができず、呼吸も苦しそうだった。

(中略)

 解剖の結果、胃の中からは80枚のレジ袋など、8キロ近いプラスチックごみが出てきた。これが胃に詰まり、エサを食べられなかったとみられる。

(中略)

4月には、スペインの浜でやせ細ったマッコウクジラの死体が見つかった。その消化器官には27キロものごみが詰まっていた。

【動画】餓死したクジラ、胃にビニール袋80枚(ナショナルジオグラフィック)

 インドネシア中部スラウェシ島の海沿いに流れ着いたマッコウクジラの胃の中から、ポリ袋やペットボトルなど大量のプラスチックごみが見つかった。

(中略)

通報を受けた現地当局や世界自然保護基金(WWF)が調べると、胃の中から計5・9キログラムのプラごみが見つかった。ポリ袋25枚やミネラルウォーター入りで売られるカップ115個、ペットボトル4本、サンダル2個、ロープなどだ。

座礁クジラの胃からプラごみ6キロ サンダル・ポリ袋…(朝日新聞デジタル)

これらの問題は、海に存在するプラスチックゴミを海の生物たちが食べ物と勘違いして飲み込んでしまうため引き起こされています。


海に出されるプラスチックゴミは、Science誌2015年2月号に掲載されたJ. R. Jambeckほかによるレポート「Plastic waste inputs from land into the ocean」によれば、毎年およそ800万トンにもなるそうです。(このレポートは2016年の世界経済フォーラム(WEF)年次総会(通称ダボス会議)でも取り上げられました)

800万トンというのは想像が付きづらい量ですが、例えば日本のゴミ収集車(1台で2t収集と想定)で考えると、8秒に1回海へゴミを捨てている計算になるそうです。


「自分は海にごみを捨ててないから関係ない」とも思えますが、そういうことでもないのです。

ポイ捨てや、ゴミの集積場などから溢れ出たプラスチックごみは雨風によって運ばれ、海へとたどり着きます。こうした漏出した廃プラスチックによる海洋汚染が、世界中で深刻な問題になっているのです。

日本でも世界でもプラスチックごみを減らす活動が活発化

プラスチックゴミのイメージ

日本ではどのくらいのプラスチックを使っているのでしょうか。


国連環境計画(UNEP)の報告書によれば、国別では、中国はプラスチック製の包装・パッケージの量は世界最大で、ついで米国やEUが続きます。

しかし、1人あたりの量に注目すると、日本は32kgで、米国についで2位と言われています。日本はさまざまなものが包装されて、過剰包装ということをよく指摘されますが、この報告書のデータからも、日本ではプラスチック製の包装・パッケージをかなり多く使っていることがわかります。

2014年の各国のプラスティックゴミの量のグラフ
出典:SINGLE-USE PLASTICSA Roadmapfor Sustainability(国連環境計画(UNEP))

環境省のプラスチックスマートキャンペーン

ダボス会議やG20で取り上げられている廃プラスチック問題に対応するために、環境省は2019年1月に始まった「プラスチックスマート」キャンペーンを開始しています。

みんなでプラスチックごみ削減に取り組んで、SNSの「#プラスチックスマート」のハッシュタグで発信していこう、という活動です。

http://plastics-smart.env.go.jp/

日本でもプラスチック製レジ袋が有料に

レジ袋のイメージ

また政府から動きも出てきました。日本でも早ければ2020年4月には、スーパーなどでのプラスチック製レジ袋の有料義務化という話が出てきました。法令として制定し、実施に向けて動いていくようです。

 世耕弘成経済産業相が15日、スーパーなどで配られるプラスチック製のレジ袋の有料義務化(無料配布の廃止)について、来年4月1日の実施をめざすことを明らかにした。

レジ袋、来年4月から有料義務化 対策迫られるコンビニ(朝日新聞デジタル)

プラスチックごみの削減のために日本全体として動いていく気運が高まっています。

個別の企業でもプラスチックから紙への変更の流れ

国が取り上げているスーパーやコンビニの業種以外でもビニール袋(プラスチック製)から紙袋への回帰が始まっています。

プラスチックごみを減らす取り組みは各企業でも開始されています。プラスチック製のものから地中に埋めると分解されるものや紙製のものへの変更などが多いようです。

アディダス2016年にビニール袋から紙袋へ変更
2024年までに製品原料ポリエステルをすべて再生ポリエステルに変更
※2019年現在40%程度
H&Mジャパン2018年12月5日から買い物袋を紙製に切り替え有料化
すかいらーくレストランツ 全店2019年6月6日からプラスチック製ストロー廃止
※代替品はトウモロコシを原料とした生分解性バイオマスストロー
スターバックス コーヒー ジャパン 全店2020年末までにプラスチック製ストロー廃止
セブン-イレブン・ジャパン 全店2030年を目標にプラスチック製レジ袋を廃止
2019年7月中目処におにぎり全品の包装を植物由来の原料を配合したバイオマスプラスチック素材に切り替え

※吉田印刷所調べ(2019年6月)

薬袋も包装・パッケージのひとつ

ビニール袋と紙袋では、コストの面で紙袋の方が高いといわれています。また、ビニール袋と紙袋は、機能性の面でも、大きな違いがあり、単純な比較はできません。しかし、環境対策に取り組んでいる企業はコスト面だけでなく、環境への投資として、また社会的責任のために、プラスチック製の包装・パッケージからの転換を進めています。


調剤薬局で扱う薬袋も包装・パッケージの一種です。薬袋は現在、紙製だけでなく、透明な薬袋やポリエチレンを使用した薬袋などのプラスチックを使用した薬袋が市場で流通しています。


もし現在プラスチックを使用した薬袋をお使いでしたら、今後の環境規制などを見据えて、紙製の薬袋も一度検討してみてはいかがでしょうか。吉田印刷所では、プリンターで使用できる紙製薬袋のサンプルをご用意しています。

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